きっと100年先も残る恋
「雄介、多分疲れてるんだよ、ちょっと休んだらいいよ」

私の言葉に、雄介は頷くことも、首を振ることもしなかった。
何も言わなかったけど、ブームストック以外の仕事をセーブするようになったし、当然学園ドラマのオファーも断った。
表向きな理由は「学業に専念するため」。

皮肉なことに、仕事をセーブした後から一斉にテレビで雄介のCMが流れる。

たしかに軽自動車の「いいじゃん」はすごく下手くそで、20テイクでこれって本当に演技が下手なんだと私でも分かる。

軽快な音楽の途中、雄介がバツンとリモコンの電源ボタンで消したのを機に、テレビも付けなくなった。

雄介が、普通の大学4年生になり始めた。
少しだけ普通の大学生同士の同棲生活が始まる。

もしかしたら、雄介がサラリーマンになって、普通に暮らして、普通にデートして、そんな日が来るのかもしれない。
そう思うと、それはそれで幸せで、ポジティブに捉えられる。

そうだ、私も求めていた未来だ。

少しだけ雄介に笑顔が戻ってきた。
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