夜が明けていく。
「じゃあ、“華ちゃんこれからよろしく!”ってことで、せーのっ」

『カンパーイ!!』

私の入居祝いということで、夕飯時にはメンバー全員が揃って食卓についた。

「いや〜この前の子が辰石さんの姪だったとは驚きだよね。改めて自己紹介しよっ!ちなみに俺は、黄島太陽(きじまたいよう)  QUATRE COULEURS TON(キャトルクルールトーン)のギターやってます!」

QUATRE COULEURS TON、通称キャトクルのギター黄島さんは、ニコニコして明るくてふわふわした感じの男性だった。

「えっと、じゃあ次は僕かな?緑川葉月(みどりかわはずき)、ベースです。リーダーやってます。こんな感じで良いのかな?」

照れたように笑ったベースの緑川さんは、物腰が柔らかく、話しやすそうな方だった。

「あっ、俺も言う感じ?えっと、黒土龍夜(くろつちりゅうや)ドラム。以上」

ドラム担当の黒土さんは、ぶっきらぼうな印象を受けた。

ただ、印象に反してお顔立ちがとても美しくて驚いた。

「なんだよ、人の顔ジーッと見て」

「えっ、あっ、すみません!綺麗なお顔だったのでつい・・・・・・」

私は慌てて目線を逸らした。

「いーよいーよ、龍ちゃん美人さんだから見惚れちゃうよね。性格はガツガツしてるのにね〜」

「おいっ!!」

「2人とも止めな。彼女が戸惑ってるだろ」

黄島さんと黒土さんを制したのは、リーダーの緑川さんだった。

今のやり取りで、何となくバンド内の関係性がわかった気がした。
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