夜が明けていく。
本編
伯父の家に来てから、この下宿の家事が私の仕事になった。

実家にいる時も家事はしていたけれど、1日の大半を自室で過ごしていたことを思うと、今はやることが沢山あってとても充実していた。

伯父は「執筆に集中できて助かる」と喜んでくれているけれど、私が気軽に外へ出られない分、どうしても伯父に助けてもらわないといけないことも多かった。

本当は全て私が出来たら良いのだけれど。

執筆の大変さを一番よく分かっている身としては、それがとても心苦しかった。

「伯父さん、今日はこれをお願いします」

私はいつものように、伯父に今日の買い物リストを手渡した。

「華ちゃん。その買い物、荷物持ちするから俺と一緒に行こうよ!」

「えっ・・・・・・?」

アルバイトが休みでリビングで寛いでいた黄島さんが、楽しそうにこちらにやって来た。

「華ちゃんは俺とデートするの嫌?」

「あの、えっと・・・・・・」

どうしよう。

ここで断ったらあの理由を説明しないといけなくなる。

それに、せっかく前を向くために伯父さんの家に来たのだから、少しずつ普通の生活に戻していかないといけない。

1人なら困難でも、いつも笑顔で明るい黄島さんが一緒に行ってくれるのなら大丈夫かもしれない。

私はゆっくりと深呼吸をすると、覚悟を決めた。

「伯父さん。私、黄島さんと一緒に買い物行ってくる」

伯父は私の返事に少し驚いていたけれど、「うん、行っておいで」と優しく微笑んでくれた。

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