花音(かのん)
放課後、詩穂は、また適当に友達をやりすごしながら、教室に残った。
幸一も同じように、教室に残っていた。
教室に2人きりになった所で、詩穂が幸一に声をかけた。
「ねぇ、図書室に行かない?」
「図書室?」
「うん、上履き下駄箱に直して靴持って。」
「うん?」
幸一は詩穂の言うままに着いて行った。
「山下君は、図書室は利用する?」
「高校1年生の時のオリエンテーションで入ったっきりだよ。」
「結構良いよ。」
「佐々木さんは、図書室よく行くの?」
「うん。画集借りたり簿記部で使ったり。」
「簿記部で?」
「うん、紅茶飲んだり、お菓子食べたりしながら、簿記の勉強するのね。その時お湯が湧かしやすい、図書室使うの。私たちは入れないけど。図書室の先生の居る奥には、簡単なキッチンがあるらしいよ。」
詩穂は早口で勢いよくしゃべった。
図書室につくと、図書室の先生が出て来た。
「佐々木さん?テスト期間中でしょ?」
「テスト期間中でも図書室は開いてるんでしょ?」
「えぇ、まぁ6時までなら。」
「勉強しようと思って。」
そう言って、詩穂はカバンから勉強道具を出して図書室の先生に見せた。
「へぇ。彼氏さんと仲良くテスト勉強ねぇ。」
「いいでしょ。」
詩穂がいーっと顔をしかめた後、笑って言った。
「ねぇ、奥の自習室借りていい?」
「自習室じゃないって。司書教諭の先生の部屋だから。」
「ねっ、いいでしょ?」
「仕方ないわねぇ、他に誰か来るまで良いわよ。」
幸一は黙って2人のやりとりを聞いていた。耳が少し赤くなっている。
詩穂は慣れたように、本棚と本棚の間を通り、奥に進んで行った。
一番奥にガラス張りのような透明な壁の部屋があり、コピー機と大きな机と、机にそってイスが何脚か置いてあり、壁にも、たたんだイスが何脚か置かれていた。
「簿記部では、ここで勉強するの。少しくらい話ししたって、外の人の邪魔にならないから。」
「へー。図書室にこんな所があったなんて知らなかった。」
2人は向かい合って荷物をおろしてイスに座った。




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