蒼春
でも、みんなのLINEほしいなぁ。交換…しよう。

『じゃあ、ちょっと待っててもらってもいい?いま、スマホ鞄の中なの。』

『あ、全然いいよー。』

その時ガラガラっと音がして先生が入ってくる。

『あ、先生来ちゃった。席戻った方がいいよね。』

『そーだね、じゃあまたあとで交換しよー。』

みんなすぐに席につく。

私も席に着こうとすると、後ろから背中をつつかれた。後ろを向くと雪ちゃんはこそっと『嫌なら嫌っていいなよ?』と耳打ちしてきた。

私は驚いて目を見張って、雪ちゃんの顔を見る。…まさかそんなにわかりやすく態度に出てたのか、と。

『ど、どうしてわかったの…?』

『んーとね、超能力。』

真顔で言われた。

心が読めるのか……。じゃなくて!思ってることが相手にばれないように気を付けなきゃ。



点呼を終わらせると、廊下に並ぶように指示された。並んでる時に後ろから雪ちゃんが『なんか悩んでることとかあったら頼って?』と言ってくれた。

誰かにこんなに気にかけてもらったのは久しぶりだった。なんだか心がぽかぽかする。


入学式が始まると、さっき助けてくれた人のことをふと思い出す。

いったい誰なんだろ…。顔はよく見えなかったけど、ミルクティー色の髪だった気がする。…案外すぐ見つかるかも、なんて甘い考えを抱いていた。


退場の時に周りを見ながら歩いていると、明るめの茶髪の人が何人もいた。



えぇ、いっぱいいるじゃん…。
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