蒼春
『はい、大丈夫です。何をすればいいですか?』

「んー、どーしようかな。やってほしいこと沢山あるんだよねー。」

真剣に考えている先輩を見ながら、あぁ、この人は本当にバレーが好きなんだなって思った。

すると、忘れかけていたあの頃の感情がどんどん溢れてきた。なんだかワクワクする。

「…決めた。スパイクの練習したいからトスあげてくれる?」

『え、あの、バレーするの久々で絶対下手なんですけどいいですか?』

てっきりボール拾いかと思っていたので、驚きを隠せなかった。

「大丈夫!俺、どんなトスでも拾うよ。」

『…わかりました。』

そう言って私は2年ぶりぐらいにトスを上げた。そのボールを先輩が反対側のコートに打つ。

「乃蒼ちゃん…。」

『は、はい。』

すみません、やっぱ下手だったよね…。

「最高だよ!めっちゃ打ちやすい!どうしたらこんなにタイミング合わせられるの?」

先輩は興奮しながらそう言った。

え?そんなに興奮することなの?

なんだか先輩、可愛いなぁ。


それから練習を続けていると、朝のホームルームの時間が近づいてきた。

「そろそろ、切り上げるかー。」

『そうですね、片付け手伝います。』

「ん、ありがと。じゃあ、ボール拾って倉庫に戻しといてくれる?」

『わかりました!』

私がボールを拾いに行くと、先輩はネットを片付け始めた。
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