婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「……私って、不器用だったのね」
「え?」
「どう頑張っても、包帯にゆるみが出ちゃうのよ! さっきもね、すっごい好みのイケメンだったから、いいとこ見せなきゃって頑張ったのに……」
「な、なんの話?」
「自分でやるから大丈夫ですって言われちゃったのよー! しかも、私より数段は上手なのー。屈辱だわ」

 クロエはぐわっと勢いよくオディーリアに抱きついた。

「お願い、オデちゃん! 素人が包帯をプロっぽく巻くコツを伝授して」
「……そんな便利なコツはありません。実践あるのみよ」

 オディーリアはくすりと笑う。マイトの言った通り、クロエはたくましい。包帯の巻き方なんて慣れの問題だ。きっと彼女はすぐに戦力になってくれるだろう。

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