ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。

会社では内緒です 松田side

 八年経ってようやくかなった俺の片想い。
 最初の頃のキスは俺が無理やりしていたような物だったから少し身体が強張っていた彼女。
 さっきのキスは……全身の力が抜けていて全てを俺に委ねてくれていたような、こっちが気を緩めたら溶けてしまいそうなくらい気持ちが良かった。
 お互いの気持ちが同じになるとこうもキスの種類が違うのかと身を持って感じた。

 彼女のちょっと意地っ張りな所も凄く可愛い。

「じゃあ、また明日」とだけ聞くと、別れを惜しむ気もなく素っ気ない言い方だと他の人は思うかも知れない。
 でもそうじゃない。
 彼女は素直になるのが苦手なだけだ。
 言葉ではツンツンしている癖に顔に出やすい。多分彼女自身は気づいていないと思うが、さっきだってそうだ。「じゃあ、また明日」と言っておきながら口をムッとつむり、少し悲しそうな視線で俺を見ていた。
 正直言ってそのまま彼女の部屋に引っ張っていき身体の隅々まで愛撫してトロトロに甘やかして好きだと何度も何度も言って、可愛がりたかった。
 でも俺はそのまま帰った。
 いつか彼女が素直に口に出してくれるよう、俺に甘えてくれるようになるまでは気づいている事はまだ内緒にしておこうと思う。
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