ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 ピピピ、ピピピ、スマホのアラームが鳴る。
 ハッと飛び起き、アラームを止めた。
 ついにこの日が来てしまったか……グッと気合いを入れる。

 顔を洗い、食パンを焼いてバターを塗り、ミルクティーを電子レンジでチンして温め簡単に朝ご飯を済ませる。
 皿を洗い終え、寝室に戻りクローゼットを開き今日着ていく服を選ぶ。ノルディック柄のセーターに黒いプリーツスカートを合わせた。
 スカートなんて殆ど持って無かったくせに松田とのお詫びデートの後、休日に一人で服を買いに行ったのだ。その時に買った服が遂に生かされる時が来ようとは……
 洗面所で化粧と髪の毛を整える。化粧はいつも通りだが、髪の毛は軽く巻いて緩いポニーテールにした。

 あっという間に約束の時間まで後三十分。
 ソワソワする。初めてのデート、いや、お詫びデートした時もこうやってソワソワしながら松田を待ったな……と思い出す。

"着きました"

 あの時と同じ文面。つい笑みがこぼれた。
 黒いショートブーツを履き玄関を出ると松田の白い乗用車が止まってるのが目に入る。

「真紀っ! おはようございます」

 笑顔で車から出てくる松田に自然と自分もつられて笑顔になる。
 松田の私服を見るのは二回目だが今日もお洒落だった。タートルネックの黒いセーターに黒のパンツで脚のラインが綺麗に出ている。ベージュのチェック柄ロングコートも高い身長によく似合っていてつい見惚れてしまう。
 今日はコンタクトなのか眼鏡をしていない。
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