ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「二人が特別な関係なのは聞いてるけど……」

「じゃあ尚更分かってくれますよね? 私達はお互いを必要とし合ってるって事、だから真紀さんは正直言って邪魔なの」

「まぁその気持ちは分かるけど……」

「全然分かってない! 私がどれだけ大雅を守ってきたか、好きで好きで、外で腕を組んでも変な目で見られないように女装までして……どんなに彼女が出来ても私を優先してくれてたのに……八年前にあんたと出会ってから……ましてや再開して付き合って完全に二番目扱いになった私の気持ちがどう分かってくれるってのよ!」

 誠はヒートアップしてどんどん声が大きくなる、頬を赤く染め、目にはうっすらと涙を浮かべている。周りのお客さんにもチラチラ見られていて、完全なる修羅場に私は今いる。
 店員さんも物凄く置きづらそうに、お待たせいたしました、とコーヒーとミルクティーを置いていった。

「なんも言い返せないくらいの気持ちならさっさと別れてよね」

「違っ……ただ驚いちゃって……誠さんがそんなにも松田君のことを想っていたなんて知らなくて」

「そりゃそうでしょうよ、あんた何にも知らないんでしょ? 私の方が大雅の事をよく知ってる、あんたなんかに私たちの絆は負けないから」

 バンッと誠は勢いよく立ち上がり、財布から千円札を取り出すと目の前にバシッと置いて「この事大雅に言ったらまじでキレるから」とキッと私を睨みつけ店を出て行った。
 私は誠を止めることも出来ず、ただ呆然と誠の話を聞いているしかできなかった。
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