ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 そして今日は待ちに待ったクリスマスディナーの日。残業なんて絶対に避けなければと朝から気合いを入れて仕事をこなしている。
 隣のデスクをチラッと見ると同じように物凄い速さのタイピングでパソコンを打っている松田。
 ふふ、と思わず笑みがこぼれた。

 今日のクリスマスデートで行くディナーのお店は結局誠がオススメしてくれたあの時のお店にそのまま予約してある。
 あの日誠が完璧な男に戻った時以来私はまだ忙しくて一度も誠とは会えていないが、ちょこちょこ松田の家に急に泊まりに行っているらしい。
 本当いつも急で困るとか言いながら話す松田の笑顔が前よりももっと楽しそうに見えるのはきっと気のせいじゃないと思う。
 きっとこれからは松田と誠と私、三人で仲良く過ごせるんじゃないかな、と勝手に思っている。

 私も松田に負けじとパソコンにデータを打ち込む。

「おい、眉間に皺が寄ってるぞ」

 その声と同時に頭上にズシっと重みを感じ上を見上げると、ウシシと笑いながら橅木が私の頭にミルクティーを乗せていた。

「なんだ、橅木か、ちょっと考え事してたからかな」

 私の頭上に乗せていたミルクティーを「はいよ」と私に差し出してくれた。ちょうど疲れて飲みたいなぁと思っていた所だったので「ありがとう」と受け取ろうとした時、横からシュッと物凄い速さでミルクティーが持ち去られた。犯人は明確だ。隣を見るとグビグビと松田が一気にミルクティーを飲み干していた。
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