ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「ああっ! 私のミルクティー〜」

「俺が買ってあげますよ」

「ったく、ミルクティーにまでヤキモチ妬くなよな〜」

 橅木のツボに入ったのかお腹を抱えながらケラケラ笑っていた。勿論松田の顔は至って真剣な表情だった。

「水野さん、買いに行きましょう」

「え、あの、ちょ! えっ!?」

 ヒラヒラと手を振りながら橅木が「行ってらっしゃーい」と見送る中、私は松田に手を引かれ休憩室に連れ込まれた。

「ちょっと、手を離しなさいっ!」

 松田はスッと手を離すとさっきまでのムスッとした表情はどうしたのか、今は満面の笑みでニコニコしている。本当に松田の幼少期は感情が少なかったのだろうか? と思わせるくらい感情の振り幅が凄い。

「真紀、今日のデート楽しみですねっ」

「ちょっ! 誰かに聞かれたらどうするのよ!」

 会社で急に名前を呼ばれドキッと嬉しい面もあるが誰かに聞かれたんじゃないかとハラハラしてしまう。

「でも、まぁ……楽しみよ」

 喋る音量が周りを気にしてどんどん小さくなってしまう。
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