ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 次から次へと涙が溢れ出す。それでもこのどす黒くもやもやした感情を振り払うように走った。
 歩いている人をどんどん抜かし駅まで走る。

「え!? おい! 真紀!」

 グッと腕を引かれ止められたがその腕は松田ではなく橅木だった。

「うぅっ……橅木……」

「お前松田と帰るんじゃなかったのかよ」

 そうだ。ついさっきまで一緒に居たのに。一緒に帰るはずだったのに。

「ったく、とにかくこっち来い」

 ボロボロに泣いてる私を道の端に寄せ橅木はスーツのポケットからハンカチを出し涙を拭ってくれた。

「……何があったんだよ」

「っつ……ごめん、何でもない……」

「水野さんっ!!!」

 松田に呼ばれた気がした瞬間、私は橅木の腕の中にいた。グッと強く抱きしめられ橅木の胸に顔を埋める。

「んん……橅木どうしたの……」

「なぁ松田、お前も大事な後輩だけどな、真紀も俺の大事な同僚なんだよ、こう何回も泣かされちゃ俺も黙ってられねーよ?」

「泣くって……水野さん……」

「お前はマコトちゃんを大事にすればいいよ、真紀は俺が大切にするから」

「……マコトちゃん?」

 ――聞きたくない。

「水野さん……こっち向いて下さい」

 こんなグチャグチャな嫉妬でまみれた私を見られたくない。ギュッと力を入れ橅木にしがみついた。

「真紀は話す事なんて無いってよ、じゃあな松田、また明日」
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