強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
家に帰りコーヒーメーカーのボタンを押し、食器棚に並ぶ黄色いマグカップを見つめた。マグカップは六年間ずっと使われず置いていた。もしかしたら彼女がふらっと家に来るかもしれないと心のどこかで期待していたから。
マグカップを取り出し、そっと胴を撫でた。あの時消えてしまった彼女は元気に過ごしていたのが嬉しかった。そして俺の元へ帰って来てくれた。
さきほど彼女と目が合った時、ずっと残っていた胸のチクチクとした痛みが消え、今度は胸の奥が熱くざわめきだった。今まで感じたことのない知らない感情が湧き上がって来た。
あの時、なつのことは妹だと思っていたが、きっとそれは未成年だった彼女を好きになってはいけないと適当な理由をつけて心の中で線引きをしていただけだ。
この地球上に数いる人の中で彼女を守ってあげたいと思ったのは、心の奥底で不器用に生きる彼女を愛していたからだ。
六年経った今、はっきり言える。
スマホを手に取り、名刺の裏の電話番号を入力した。
「もしもし、高橋菜摘さんですか。先程渋谷で名刺をいただいた小鳥遊です」
例え彼女の中で俺との出会いはほんの一瞬の出来事で、俺のことなど忘れてしまっていても構わなかった。
俺が過去の彼女からずっと愛しているのは変わらないから。