弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



あまりにもいつも通り、平静な弓木くんに確信する。


昨日のは、夢だったらしい。


やっぱり失恋のショックのあまり……それにしても弓木くんで都合よく妄想してしまったのは申し訳ないし、ちょっぴり恥ずかしい。




「中瀬?」

「いいやなんでも! 弓木くんおはようっ、今日も1日よろしくねっ」




よく考えたらありえないもんね!

わたしが弓木くんの彼女なんて、パラレルワールドだとしても起こりっこない。



椅子を引いて、すとんっと着席する。



そういえば、今日は数学の小テストがあるんだっけ!

昨日は勉強どころじゃなかったから、今ちょっとだけでも……とわたわた教科書を開いていると。




「……あのう、弓木くん?」



やけに、となりから熱っぽい視線を感じる。
さすがに無視できない。



「わたしの顔になにかついてる?」

「べつにー?」

「でも、さっきからずっとわたしのこと見てる……」



「ああ。今日は土偶じゃなくて埴輪なんだなって」

「は、ハニワ……!?」

「よかったじゃん。目の腫れ引いて」


「ハニワ!?」






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