弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
スパイス、フレグランス、キス


𓐍
𓏸



どうしよう、千隼くんがキラキラしている。



「……〜〜!」



朝、登校して教室にたどりついて、扉の向こうに千隼くんの姿を見つけてじたばたする。

誕生日の日、自覚して以来、わたしは本格的におかしくなってしまった。




千隼くんがキラキラ輝いて見えて、眩しすぎて、困るの。


教室に入ることすら、うまくできなくなってしまった。



去年からずっと隣の席だったなんて信じられない。


わたしは今までどうやって平気な顔をして、千隼くんの隣にいられたんだろう。


無理だよむりむり、これ以上近づいたら頭がまっしろに────。




「このちゃん、何してんの」

「はっ、逢見くん」

「教室の前で足踏みするとか、すげー不審者ムーブしてるからびっくりした」




背後から声をかけられて振り向けば、逢見くんが不思議そうにわたしを見下ろしていた。




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