俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
「いっ、いえ! ありません」
「ならいい」

(ありませんとしか言えないでしょ、そんな目で見られちゃ……!)

怯える私を無表情でジッと見つめていた社長が、ふっと楽しげに口角を上げた。

「芽衣、明日九時にホテルのロビーに集合な。歩きやすい服装で来いよ」

(⁉ そっか! 明日はついに雑貨探しの日……!)

タイミングよくポーンと階に到着した音がエレベーターに響く。
社長は上の階なので、私が降りなければならない。

「……社長、明日はよろしくおねがいいたします」

閉まっていく扉の前でお辞儀をしていると、クスッと笑い声が聞こえてくる。

「芽衣、楽しみにしてる。いい夢を」

その言葉に顔を上げると、閉まる直前の扉の向こうで、社長が微笑んでいるのが見えた。
男性から『いい夢を』なんて言われたことがなく、顔が熱くなってくる。

「はぁ……いつもの仕事とは訳が違うからめちゃくちゃ緊張する……」

(だけど、社長が求めてることはきちんとこなさなくちゃ。秘書は秘書らしく……を忘れちゃいけない)
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