俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
「⁉」

ドアを開けてすぐ、上半身裸にスラックスのみ履いている藤堂快が、ディスクの前に立っていた。
彼を隔てた先にある上質な椅子に、彼の個人秘書『だった』女性が、大急ぎで洋服を着ているのが見える。

(はい……?)

「久しぶりだな、結城。君ならいい秘書として俺に尽くしてくれるだろうと思って抜擢させてもらった。驚かせてすまないな」

「あ、いえ……それは全然」

(と、とりあえず洋服を着て頂きたいのですが、社長……)

衝撃が大きすぎて呆然としていると、藤堂快は私に近づき、微笑みながらポンと肩に手を置いてくる。

「!」

「君もこれまでの秘書のように、俺に色情を向けることはないよな?」

前髪は乱れ、上半身は裸……きっと情事の後なのだろう。上気した端正な顔はどこか艶めかしく、色気を大放出している。

「そ、そんなの……っ、ありえません」

(色情というより、めちゃくちゃ私情は挟みまくってるけど……!)

「ならいいんだ」

藤堂快はにっこりと微笑んだあと、ふいに真剣な眼差しを私に向けた。

「今日からお前の業務時間はすべて俺に捧げてもらう。覚悟しておけよ、結城芽衣」

「⁉」

「はは、なんてな」


(いや、全然冗談に聞こえないんですけど……? っていうか、社長室でなにやってるの?
あ、思い出した。確か一年前、こんな再会をしたんだっけ……)

視界いっぱいに映る、妖しく微笑んだ藤堂快がどんどん薄れて消えていく。

(あれ、藤堂快……? ん? 社長……? ボス?)


ピピピピピ!!!
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