隣の席の一条くん。
「…聞いた。階段から落ちたって」

「あ…、うん。足滑らせちゃって――」

「嘘つくな」


見ると、少し怒ったような表情で、一条くんはわたしを見つめていた。


「視聴覚室に行くのに、階段なんか使わない」


わたしは、思わず黙ってしまった。

だけど、それが一条くんになにかを悟らせる。


「…エリだろ」


その言葉に、喉の奥がキュッと詰まる。


「…ごめん。花宮さんにケガさせて」
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