求められて、満たされた
『ゆっくり休んでね。おやすみ。』
いくら冬で日の出が遅いとしてももう少ししたらさすがに日が昇るだろう。
きっと今頃優登さんは寝ているだろう。
もう少し早く気付いておやすみと返信しておけば良かったと少し後悔する。
そこに恋心はない筈なのに気になってしまう。
しんどい時に助けてもらったせいか、ステージにもう一度上がれるようにしてくれたからなのか。
優登さんは私の中で大きい存在だったし、放っておけない存在にもなっていた。
どうしてこんなに心が引っかかるのかは分からない。
別に悪い事をしている訳でもない。
ただ、恋人が出来ただけだ。
なのにどうしてか心にわだかまりのようなものが出来ていた。
それの正体はすぐに分かるはずも無く、諦めて寝室に戻る。
「奈生?」
「ごめん、起こした?」
「ううん。大丈夫。寝れない?」
「今から寝るよ。一緒に入ってもいい?」
「当たり前じゃん。どうぞ。」
「ありがとう。」
俊介は腕枕をしてくれた。
人の温もりは心地いい。
私はその腕の中で眠りについた。