求められて、満たされた

「うーん、嫌ではないけど…。でも、俊介は俊介で自分の仕事があるでしょ?ただの素人の私が俊介にそこまでして貰ってもいいの?一応俊介はプロじゃん。ギタリストや編曲家、作曲家としては割と名前しれてる方だし。」

「奈生に取ってはメリットしかないと思うけどね。mix担当の所に俺の名前があれば俺を知ってる人が自然と聴いてくれるし、ゼロからの拡散よりは遥かに再生数は伸びやすい。プロになりたいなら、図々しいくらいに色々頼んでいくべきだ。こういう所で遠慮する必要なんて無い。」

「分かった。それじゃあ、お願いします。」

すると俊介はMacBookの電源をつける。

「奈生のオリジナル曲で行くとして、音源はどうする?楽譜さえくれれば音源は俺が作るでもいいし、こだわりがあるなら奈生が作るでもいいし。」

「お願いしてもいいかな?雰囲気とかここはこうしたいっていうのがあったら言うかもしれないけれど大まかな所は俊介にお願いしたい。」

「了解。」

こうしてどんどんネットに私の音源を上げるという計画が練られていく。

恋人同士だけど、音楽の事になると一気に仕事モードになる俊介。

音楽に対して誠実だからこそ今の俊介の地位があるのだろう。

本当に尊敬する。

音楽の事に関してとなると私は俊介に頭が上がらない。

今こうやって私の音源のお手伝いをして貰えること自体本当に凄い事だ。

音楽をやっていくにあたって、やはり人脈というものは欠かせない。

コネと呼ばれ批判される事もあるけれど、コネはその世界で生きていくには重要な武器だ。
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