求められて、満たされた

そう言えば今日は優登さんからLINEが来ていなかったし。

確かに外は寒いし、学校でも風邪やインフルで休む生徒がチラホラ見えてきていた。

優登さん、インフルじゃなければいいんだけど。

バイトが終わってから連絡するのは時間も遅めだし迷惑になりそうだから、明日の日中にでも一言連絡してみよう。

「木下も気を付けろよー。」

「はい、気をつけます。」

テーブルの上を拭いたり予約分の皿を並べたりして開店準備をする。

もうだいぶ、仕事にも慣れた。

居酒屋のアルバイトはまずお酒の名前を全部覚えるというのが大変だったけれど、やっぱり働いているうちに覚えてくるものだ。

物覚えはそんなに悪い方では無かったこともあってそこでつまづいたりはしなかった。

「木下は最近音楽活動はどうだ?順調か?」

マスターは私の事を娘のように気にかけてくれる。

父親は居るけれど、私に無関心だったこともあってかマスターの事をお父さんのように私も慕っていた。

「今度、ネットに音源アップしようかなって思ってて。」

「おー、そうか。もしアップしたら俺にも教えてくれよ。」

「もちろんです。」
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