占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
「仕方がないわね。じゃあ、ジャレットに協力してもらうわ。ジャレット、マリアーナを思い浮かべてみて」 

自分が見限られたと思ったルーカスは、慌てて口を閉じ、言う通りにした。

「マリアーナって、庶民そのものの格好でここに来たでしょ?」

「はい、そうですね」

「そして今も、庶民の服装よね。でもね、食事をしている時をよく思い出してみて」

「ダメだ。ライラしか見てないから、思い浮かばない」

邪魔をするなと、ジロリとルーカスを睨めば、再び慌てて口を閉じた。とりあえず、聞き役に徹することにしたのか、ルーカスはジャレットに視線を向けた。

「たぶん、幼い頃に王妃や乳母にマナーを教え込まれているからだと思うけど、彼女の所作って、どこか洗練されているというか、庶民とは違う気がしない?」 

「言われてみれば……そうですね。食事以外も……確かに、佇まいが他とは違うというか」

「そう、それよ。どこか〝違う〟雰囲気が滲み出ているの。今私が水晶で見た違和感も、それなのよ」

どうやら、ジャレットは納得したようだ。

「つまり、庶民の格好をしているのに、明らかに庶民じゃない輩が紛れていると?」

息を吹き返したルーカス。とりあえず、マリアーナの例えはわからなかったけれど、私の言いたかったことは伝わったようだ。

「ええ。2人のうち1人はそんな雰囲気よ。もう1人は騎士なのかしら」



再び水晶に目を向ける。

「彼らは……なんだろう?なにかを見張っているのかしら?攻撃するような雰囲気はなさそうなんだけど。でもなにか……誰かなのかな?探してるみたい」

さらに情報を拾おうと、目を凝らすけれど、それ以上のものは見当たらなさそうだ。


「……だめだわ。これ以上はわからない」

「そうか。ありがとう、ライラ。とりあえず、国内の防衛強化をしておく必要がありそうだ。ジャレット、頼んだ」

「わかりました」

さっと立ち上がったジャレットを見送って、再びルーカスに向き合う。


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