鬼の棲む街
ーーーーー四月
キャンパス内を歩いているだけで新歓の声がかかる
「ねぇねぇ、美人さん」
背の高いゴリラ体型のウサギさんがラグビー部の看板を持って近づいてきた
「・・・っ」
背が高いから必然的に見上げることになるんだけど
ちょうど口の部分から中の人と目が合って驚く
「マネージャー探してるんだ
時間があれば見学がてらお花見に参加してみない?」
ショッキングピンクのウサギさんは小さなビラを差し出して首を傾げた
・・・可愛いとでも思っているのだろうか?
背の高いゴリラ風なだけでも充分怖い
「・・・結構です」
丁寧に断ったのに
「いや〜、冷たいじゃないのよ〜
お花見だけでもどう?ピザとかバーベキューとか、腹踊りとか楽しいよ?」
馴れ馴れしく言いながら近づいてきて更に怖い
ピザもバーベキューも正直要らないけど腹踊りってなによっ
驚き過ぎて二歩後退って踵を返した
・・・怖い怖い怖い怖い
ショッキングピンクがトラウマになりそうで慌てて逃げ出すと早足で人並みに紛れた
その後、空きコマを潰すために足を運んだカフェテリアで白とひたすらメッセージのやり取りをした
[てか、雪が居ないの騒ぎになってる]
あの不愉快な連中を久しぶりに思い出した
[メダカは群れてると良いわ]
その他大勢にしかなれない残念な奴らを頭から追い出すと次の講義の為にカフェテリアをあとにした