鬼の棲む街


「クラブDragonって」


所謂、不良《チーム》の集まりで自警団から愛龍会へと繋がるヤクザの養成所なんだろうか


「なに?小雪、興味あるの?」


「ん・・・興味とは違う、かな」


「一度行ってみる?この街で一番安全なクラブだから安心して飲めると思うよ」


「・・・自警団が守ってるから?」


「それが一番ね」


「怖くないの?」


「怖くないかと聞かれたら難しいな
実際、喧嘩してるところとか見たこともないからね」


喧嘩をしている場面だけが怖い訳じゃない
あの赤鬼は、纏う空気自体が重かった


「私、行ってみたい」


そう言って手をヒラヒラさせると紗香は難しい顔をしている


「どうしたの?」


眉間の皺を指で撫でるとハッとしたように目を合わせて


「元彼がLーDragonに入ってた」


そう呟くように口にした


「紗香は高校こっちだったよね」


「うん。中学から付き合ってた彼氏」


「で、その元彼は今は?」


「高校卒業して、たぶん愛龍会」


「っ」


「元彼ってことは別れてるのよね?」


「・・・実際、別れようとはどっちも言ってないの
自然消滅だったから」


そう言って紗香は俯いてしまった








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