家出少女は不器用王子と恋をする。
「何ー?」
「添い寝だけって言ったじゃん!」
「だから添い寝してもらってんじゃん」
「ハグされるとか聞いてないから!!」
「そうだっけ?」

尚も颯はおどけてみせるので、これは離れる気がないなと悟る。

こうなればもう私の言うことを聞いてくれない。

「・・・なら、私の質問に答えてくれたら許す」
「何でも答えるよ?」

ただこのまま颯のなすがままにされているのは癪なので、私は颯も困りそうな質問をすることにした。

「颯はさ、私のどこを好きになったの?というかいつから?」

すると颯は困る様子はなく私の頭を撫でながら優しい声で答えてくれた。


「どこ・・・か。敢えていうなら見ず知らずの人を助けちゃうような優しいところ?」


そう言われて颯との初めての会話を思い出した。

そうだった。私から話しかけたんだ・・・。

「それって水筒のときの・・・?」
「そう。あのときは体調悪くてよく顔見てなかったけど、次の日改めて偲を見たとき一目惚れした」
「へっ!?」

そこから徐々に引かれて・・・とか予想していたのに、まさか一目惚れとは思わず変な声が出た。

「相変わらず顔も性格も声も全部が全部俺のタイプすぎるし・・・。そんなの惚れるなって方が無理でしょ」

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