家出少女は不器用王子と恋をする。
いきなりお手伝いさんとして雇われたと思ったら誕生日だって私が独占したし、喧嘩中なんか私が車で送迎してもらったし、いつの間にか婚約者になってるし・・・。

結構ハチャメチャなのでは?

しかも私どこにでもいる庶民だし。

颯はよくてもご両親的にどうよ?

もっと会社に貢献出来るような人がいいんじゃ・・・。

あぁどうしよ。育ちの荒さがバレて強制的に婚約破棄させられたら・・・。

そう考えると胃が痛くなってきたような・・・?

そういえばストレスで胃に穴が開くんだってね。

あれ迷信かと思ってたけど本当に開きそうだよ・・・。

ってかもう開いてるんじゃない?

「偲?」

顔を真っ青にして急に黙るものだから颯は心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

いちいち近いんだよ!

「わっ、私着替えるからもう行くね!?」
「うん?」

普段あまり使わない頭で考え事をして完全にキャパオーバーした私は逃げるように颯の部屋を出た。


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