コインの約束

1時間以上清水寺に滞在し、さっき上がってきた坂道を今度は下る。

と、坂道の途中にあるお土産物屋さんの入り口に『記念コイン』って看板が見えたから、和真の手を引っ張ってその記念コインの機械の前に来てみた。

「これってさ、小学生とかが作る記念コインだろ?芽衣、こんなの欲しいの?」

「でもね、見て!自分の名前の他に5文字だけ好きな言葉が刻めるんだってよ。楽しそうじゃない?和真、一緒にやろうよ」

もう私の頭の中では5文字を何にしようって、考えてて。

「よし、俺は5文字決まった。芽衣、やるぞ!」

やだ、和真の方がノッてるじゃん。ふふっ。可愛い。

2台並んでいるその機械に500円を同時に入れて、刻印する文字を打っていく。

「俺、終わったよ。芽衣はまだ考えてんの?」

「だめ、見ないで!出来上がるまで内緒。えっと、あれ?私の名前が変換できない。あー、もういいや。名前はカタカナで」

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