コインの約束
「湊、湊。ふぇーん」
「大丈夫だから」
湊は抱きしめながら私の頭を撫でてくれていた。ずっと、ずっと。
湊の腕の中で安心したのか、泣くのに疲れてきた私はだんだん眠くなってきて。
「湊、眠くなってきたから、帰る」
なんて、湊に酷いことを言って。
「芽衣さー、気持ちの切り替え早すぎんだろ。ま、いいけどさ」
「湊、ありがとう。少しだけ不安が消えたよ」
「なんだよ、少しだけかよ!」
私はそんな湊に力なく微笑んで、
「少しじゃないよ。湊が来てくれて嬉しかったよ」
って小さい声で呟いた。
「今度、凛ちゃんの話聞くね。早く仲直りし・・・」
えっ?なに? 湊?
「あっ、えっ?ご、ご、ごめん、芽衣。えっ?俺?今、何した?」
「なっ、なにもしてないよ、湊」
・・・・不意に、湊に、キスをされた。
私は、何もなかったことにした。