いけません、凪様
 追いついたところで少し後ろを歩いていると、凪様が拗ねた様子で


「なんで遥斗のこと庇うんだ」

「遥斗さんが痛そうにしていらしたので」

「あれはわざとに決まってるだろ」


 凪様はまだ拗ねた様子。
 けど、遥斗さんのあの態度はやっぱりわざとだったんだ、とそのことに安心する。

 凪様がゆっくりと歩き始めたので、私もそれに合わせると、凪様が一歩下がって私の横に並ぶ。
 私の顔を見て凪様が


「もしかして、遥斗のこと考えてる?」

「はい、遥斗さんが実際に痛くなかったことに安心していました」

「遥斗が本気で痛がることはしない」

「そうですよね。凪様はとてもお優しい方ですから」


 そこから凪様が私から顔を逸らし、黙ってしまったので、凪様の半歩後ろを着いていく。
 やっぱり横に並ぶよりもこの位置の方が落ち着く。

 その後、凪様が手を繋いでこようとしてきたけど、人目がつくところでは嫌だと伝えると、横に並んで歩くだけでいいと言われた。

 凪様の横を歩くなんて、なんだかソワソワする。

 凪様はどうして私のことを好きなんだろう。
 とにかく、私以外の女性を好きになってもらうようにしないと。

 まさか凪様にこんなに手を焼かされる日がくるとは……。

 これから色々と大変になりそう、そんなことを思いながら、凪様と並んで帰った。
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