いけません、凪様
 そして放課後。
 SHRも終わって、友里とは玄関で別れ、凪様を待っていると金色の髪が視界に入る。


「おまたせ、待った?」


 凪様のご友人の有馬遥斗(アリマ ハルト)さんだ。
 遥斗さんは凪様の小さな頃からのご友人で、よく真宮家に遊びに来るし、凪様もよく遥斗さんの家に遊びに行く。
 凪様と同様に顔が整っていて、凪様と並んでいると絵になる。

 そんなことは置いておいて、どうして凪様ではなくて、遥斗さんがそう言ってくるのか不思議に思ってると


「美波が待ってったのは俺で、遥斗じゃない」


 凪様が遥斗さんの腕を掴みぐいっと後ろに引っ張る。
 遥斗さんはわざとらしく痛いと言う。


「凪様、乱暴はいけませんよ?」


 もしかしたら本当に痛がってるかもしれないのでそう言うと、凪様がどこか不満そうに遥斗さんの腕から手を離す。


「遥斗のことは放っておいて、早く帰ろ」

「はい、かしこまりました。それでは、遥斗さん失礼します。お気をつけてお帰りください」


 凪様が歩き出すので、私は遥斗さんにそう言って後ろを着いていく。


「美波ちゃんこそ気をつけてね」


 遥斗さんが後ろからそう言うので、一度立ち止まって振り返ってお礼をする。
 そして凪様の後を追いかける。
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