丸重城の人々~後編~
男1「おい、早く酒持ってこいよ!!」
パリーーーン!!!

柚希「え?な、何!?
怖い……」
咄嗟に大翔の服を掴む柚希。

男がまた凄んだ拍子に、空のグラスが落ち割れたのだ。
大翔「柚!?大丈夫だよ」
中也「あの客、さっきからずっとあんな感じなんだよなぁ。それで流風がもうすぐキレそうで、もう出ようとしてるとこ」
柚希「でも、あのお客さん止めた方がいいよね?
みんな、びっくりしてるし……」
大翔「店員に任せよう!変に出ていくと、また喧嘩になりそうだから!」
中也「そ!柚希と約束しただろ?
むやみに喧嘩しないって!
だから、関わらないようにしてる」
柚希「そ、そうだよね。
大翔、早く食べて帰ろ?
私……怖い…」

大翔「わかった」

そそくさと食べ、中也達と会計に並んでいる大翔と柚希。他の客も関わりたくないのか、会計に集まり行列になっていた。
男1「うわっ!めっちゃ、可愛い~!
芸能人?ヤバいくらいに可愛いんだけど!」
いつの間にか柚希のとこにいた男。

柚希「え……さっきの…」
咄嗟に大翔にしがみついた。

男2「おい、嫌がってんだろ?やめとけ!
ごめんね!コイツ、めっちゃ酔ってて!!」
柚希「い、いえ……」
早く向こうに行って……と柚希は心の中で願っていた。
男1「ねぇ!遊ぼ?それともどっかで飲む?
いいバーを知ってんだ!」
柚希「け、結構です…」
男1「えー!付き合ってよぉ」

流風「もう、いい加減にしてよ!
嫌がってんだろ?手ぇ退いて!?
つうか、早く消えろ!」
ずっと我慢していた流風。
でも柚希にまで声をかけ始めた為、もう限界だったのだ。
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