丸重城の人々~後編~

【宗一郎の恐ろしさ】

柚希「そんな……楽しいですよ!
宗ちゃんのお話、面白いから!」
宗一郎「ほんと!?じゃあ…話しよ?」
柚希「はい。
でも、あの…お買い物に行きたいんですが……」
宗一郎「じゃあ…僕も行くよ!」

二人で並んで歩く。
ほんとは中也と行く予定だったが、強引に宗一郎が代わったのだ。
柚希「宗ちゃん、やっぱりおかしいです」
宗一郎「え?なぁに?」
柚希「何かあったんですね?様子がおかしい」

宗一郎「そうかなぁ。
━━━━━━━柚ちゃん、こっち!」

グッと宗一郎に引っ張られ、宗一郎の背中に隠された柚希。
あっという間に黒服の男達に囲まれた。
柚希「何……この人達…」
柚希も宗一郎の服をギュッと握った。

赤尾「おっさん、その子渡して?」
宗一郎「どうして?」
赤尾「竜王の姫だろ?欲しいって奴いっぱいいるんだよ!」
宗一郎「嫌だよ」
赤尾「大瀬 柚希ちゃんだよね?
俺達と来てよ!
旦那がどうなってもいいの?それか、君の大切な親友拐おうかな~?」

柚希「え……大翔?響ちゃんも?」
どうしよう。
私がここで動かないと、大翔や響ちゃんが……
柚希は震えながら、ぐるぐると頭の中で考える。

宗一郎「勝手にすれば?」
宗一郎の声が響いた。

柚希・赤尾「え?」
宗一郎「勝手にすればいいよ!
すぐに助けに行くから。でも、この子は渡さないよ」

赤尾「くそじじぃ!調子にのってると━━━━━━
……!!!!!」
宗一郎が真っ直ぐ赤尾を見据える。
でも表情は、かなり恐ろしい。
宗一郎はただ…赤尾を見ているだけなのに、目が凄まじくそれだけで殺されそうな程に………

宗一郎「さぁ…退いてね!それとも…地獄を見たい?」

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