世にも歪な恋物語


「……誰」

「あれ。オレのこと、知りません?」


 意外や意外。

 なんとなく一人称は【ぼく】かなと。


「……ジェンダーレス男子」

「そう見えます?」


 え、声に出てた。


「ごめん」


 しかしその髪型は完全なる校則違反。


「いえ。あながちまちがってませんよ。オレ、メイクしたりスカートはくのは女の子だけとか。そういう固定観念好きくないので」


 君のような子だったらフリルもレースもさぞかし似合うことだろう。 

 いたんだな、こんな美少年がうちの中学に。


「センパイのこと。前から知ってました」


 ……私のことを?


「ほら。センパイって、身にまとうオーラが他の人とチガウじゃないですか」


 それは君の方じゃないのか。

 CGみたいな容貌してさ。


「だから。今、こうして話せて、超幸せっていうか」


 ……君の幸せのハードル、低すぎない?

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