再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「だから理久も」
麻衣はそれ以上言わなかった。

言わなくても、理久はわかっていると知っている。

麻衣の言いたいことも、伝えたい言葉も。

だから言葉にせず、そのまま理久の返事を待った。

理久に泣いていることを悟られないように、携帯電話のマイクに手をあてながら、耳を澄ませてまつ。



『わかった』
そう返事が返ってきたとき、麻衣はほっとした。
伝わった。

同時に何とも言えない喪失感と、切なさに包まれる。
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