再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「本当は理久を嫌いになれればいいんですが、きっと理久と一緒に仕事をしてきた方は知っているでしょう。そして同じ思いを持っているでしょう。なぜか彼を応援したくなる。」
理久が築いてきたものの大きさを改めて知る。

「これから先、理久が前に進めるように、もっともっと高くはばたけるように、何か障害があれば全力でよけてやりたい。守ってやりたい。理久が自由に飛べるように、私はこれからは会社の社長と歌手という関係を越えて友人として、瀬波理久のファンとして、応援すると決めています。」
深く深く理久はもう一度社長に頭を下げる。

「今日は理久にとって新しい旅立ちのステージでもあります。皆さん、最高のスポットライトで照らしてやってください、お願いします。」
深く深く、関係者に頭を下げる社長。

理久を見つめながら麻衣は安心した。

大丈夫。このステージから降りても、理久を支えれくれる人はたくさんいる。
自分がいなくても大丈夫と言い聞かせながら、麻衣は準備を始めた。
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