再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
麻衣の病状を伝えた稜真。
「俺・・・知ってました。」
「え?」
「麻衣があなたを想っていることも。妊娠していることも。なのに、言わなくてすみません。」
正直に伝えて頭を下げる稜真に理久は視線を向けて首を横に振った。

「俺にあなたを責める資格なんてありません。むしろ、逆だ。俺のせいで・・・」
理久は麻衣に視線を戻す。
「俺のせいで、彼女を苦しませてばかりだ。それに・・・こんな・・・」
「事故はあなたのせいじゃありません。」
はっきりとした稜真の言葉に理久がふっと自嘲気味に笑う。
「俺がちゃんとわかってそばにいたら、こうならなかったかもしれない。」
「でも・・・」
「何してんだ・・・俺・・・」
理久は自分を責め続ける。
「ごめんな・・・麻衣・・・ごめんな・・・」
ふたりの間には自分に知らない時間も、見えない二人だけの世界もあることに気づいた稜真はそっと病室から出た。
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