運命なんて信じない
その日の勤務後、私は美優さんに連絡を取り会う約束を取り付けた。

場所は会社近くのカフェ。
若い子も多く利用する人気店。

「琴子、賢兄には言わなくていいの?」
なぜか着いてきた麗が、心配そうに声をかける。

そりゃあいつかは賢介さんに話さなくちゃいけないけれど、今はすべて憶測の域。
美優さんの言い分を聞いて、本心を確かめてからでないと何も言えない。

「まずは美優さんの話しを聞きたいの」

運ばれてきたオレンジジュースに口をつけながら、私は美優さんを待った。


「来たみたいだ」
同じくついてきた翼が入り口を指さす。

「ごめんなさい。お待たせしました」
いかにもモデルって風貌で店内の注目を集めながら、美優さんは近づいてきた。

「3人お揃いね」
意地悪な笑顔。

「急に呼び出してごめんなさい」
私はまず謝った。

「かまわないわ。私にも言いたいことがあるし」

相変わらず笑顔を作ってはいるが・・・目が怖い。
これは戦う目だ。

この時、私は確信した。
美優さんは私が嫌いなのだと。
もちろん、以前の食事の席でされた事を考えれば、好かれてないのは分かっていた。
でも、今の彼女は私に憎しみを向けている。
< 124 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop