運命なんて信じない
決心
ブー ブー
相変わらず、2日と開けずに届く陸仁さんからのメール。

その誘いを、私はいつも断わっていた。
でも、陸仁さんに頼ってみようと決めた。

そのことで賢介さんとの関係が壊れたとしても、かまわない。
今の最優先事項は、賢介さんを守ること。
その為だったら、私は何でもする。


「ごめん。お待たせ」
さわやかな笑顔を向けて、陸仁さんは私の前に現れた。

「急にお呼びして、すみません」

「いいよ。ずっと誘ってたのは僕だから、嬉しい」
コーヒーを注文すると、陸仁さんが真っ直ぐ私を見る。

「でも、急に呼び出すって事は、何かあるんだよね?」
さすが、感づいてるか。

「はい。実は・・・」
私はすべてを打ち明ける決心をした。

母とおばさまが大学時代の友人だったこと。
母が亡くなってからはおばさまの援助で大学まで出たこと。
卒業後は平石家に居候していること。
私は完結に事実のみを話した。

「へー。そうなんだあ」
さすがに陸仁さんも驚いた様子だ。

「今まで黙っていてごめんなさい」
私は頭を下げた。

「いや、さすがに驚いたけれど・・・これで、なんとなく納得も出来た」

納得?

「変わった子だなあと思っていたんだ。工学部を出て受付にいるのも変だし、僕に対する態度も、凄く避けられてる気がしたしね。だから余計に興味を持ってしまった」

陸仁さんくらいの王子様なら、向こうから寄ってくる事はあっても、避けられたり逃げられたりって事はないのかも知れない。
だから、私が珍しかったのか・・・

「で、今それを打ち明けた理由は?」

ズバッと本題に入られて、

「えっと」
私は言い淀んだ。
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