運命なんて信じない
「分かった、協力するよ。ただし、俺にも何かしらのメリットがないとね」
なんだかとても悪戯っぽい笑顔。

ん?

「確認だけど、琴子ちゃんは賢介とは何もないんだよね」

「はい。ただの同居人です」

ジーッと私を見る陸仁さん。

「じゃあ、俺と付き合ってくれる?」

え?

「それは、どういう・・・」
意味ですかと訊こうとして言葉が続かなかった。

「俺は琴子ちゃんの言う通りに、美優とその周辺を調べるから、その代わり一晩だけ俺に付き合ってよ」

一晩だけ・・・って事は、

「子供じゃないんだから、意味は分かるよね?」

ちょっとだけ考えて、私はコクンと頷いた。

「分かりました。何でもします」

ククク。
陸仁さんの笑い声。

「女の子の口から何でもしますなんて聞くと、期待しちゃうなあ」

いつもの軽口に戻った陸仁さん。
私は耳まで真っ赤になった。


陸仁さんは、異物混入を投稿した2人の身辺調査とお金の流れ、美優さんとの関係、美優さんの診断書を書いた医者について、すべて調べてみると約束してくれた。

私は
「よろしくお願いします」
深々と頭を下げた。

次回会うのは10日後、週末金曜日の夜。

「その日までに調べておくから」
と言ってもらった。

そして、その日はホテルのレストランで食事をしそのまま泊まっていく約束をした。
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