運命なんて信じない
麗にも、翼にも、何も話さなかった。

「琴子、何か考えてるのか?」
昼食時の社員食堂で、翼が声をかける。

「別に・・・」
ごまかせないのは分かっていて、でも知らん顔してみる。

「ま、いいけど。無茶しすぎて、専務に心配かけるなよ」
「分かってる」

なんだか見透かされているようで、怖い。

「ねえ翼。落ち着いたら一緒に飲みに行こうよ。出来れば麗も一緒に。私、必ず連絡するから」
「何か、別れの挨拶みたいだな」

ギクッ。
「違うわよ。美優さんのことも後少しすれば落ち着くだろうから、そうなったらまた飲もうって言ってるの」
「ふーん」
勘がいいんだか鈍いんだか、翼は気のない返事。

出来ることなら、2人とはずっと友達でいたかった。
でも、無理だろうか・・・
< 142 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop