運命なんて信じない
彼女の選択 side賢介
最近、琴子の様子がおかしいことには気付いていた。
何か隠しているのが分かっていても、気付かないふりをした。

ブブブー ブブブー

週末金曜日の午後。
それは、珍しい相手からの着信だった。

「どうした?」
かけてきたのは、平石陸仁。

俺の同い年の従兄弟。
世間では、俺たちをライバルと見ているらしい。
本人達はそんな気はないのだが、ほどよく距離を保っておいた方がグループのパワーバランスも俺たちの仕事もやりやすいため、あまり親しげな行動をとらないことにしている。

「賢介、今日時間作れるか?」

もちろんお互いに一目置いた存在であることは自覚している。
しかし、外で会うのは本当に珍しい。

「何かあったのか?」

突然の誘いに、つい警戒してしまった。

「琴子ちゃんのことで」

俺は絶句した。
なぜ、陸仁が琴子を・・・
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