運命なんて信じない
ドタドタと足音を立てながら、おじさまとおばさまが出てきた。

「琴子」
「琴子ちゃん」
2人とも、笑顔はない。

「心配かけて、ゴメンなさい」
それ以外に言葉がなかった。

しばらく私を見ていたおじさまが、ツカツカと近づいてきて、

パンッ。
私の頬が鳴った。

「無断外泊はダメだとあれだけ言っただろう。何で言うことが聞けないんだ。電話をしても出ないし。どれだけ心配したと思っているんだ」
ちょっと涙ぐみながら、おじさまが叱る。

私は胸を締め付けられるような思いがした。
ボロボロと泣きながら、
「ごめんなさい」
何度も繰り返した。

「もういいから。上がりなさい」
おばさまが助け船を出してくれて、私は家に上がることが出来た。
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