運命なんて信じない
平石琴子になって、6年の月日が流れた。

色々あった。
悲しいことも、嬉しいことも、賢介さんと乗り越えた。

「遥、泣くな」
駆け寄ってきた賢介さんが、遥を抱き起こす。

半べそをかき、今にも泣きそうな遥。

「うん。僕、泣かない」
それでも、グッと涙をこらえている。

「よし、偉いぞ」

パパが大好きな遥。
最近では生意気になって、私の言うことに反抗したりもするけれど、賢介さんの言うことはきく。

もう、3歳だもんね。
自我が芽生えたって当然。

「ママ。アイスクリーム食べたい」
「ええっ、アイス?」
私はちょっと渋い顔になってしまった。
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