運命なんて信じない
「じゃあ、遥君は麗の子供なのか・・・」
さすがの翼も絶句してしまった。

それもそうだ。
遥は麗が息を引き取ると同時に帝王切開で生まれた。

まだ妊娠30週。
体重も1000グラム足らずで、2ヶ月以上早い出産だった。
当然、生まれてから半年ほどは病院で過ごすこととなり、退院して家に戻った頃には麗の葬儀は終わっていた。
誰も麗の死と遥の誕生を結びつけて考える人はいなかった。

「あなたなの?」
黙っていることが出来ず、私は翼に直球を投げてみた。

「俺は、遥君の父親ではないよ」

はあー、よかった。

この3年、その言葉が聞きたかった。

「俺にも、誰が父親かは分からない。けれど、10代の頃からくっついたり離れたりしてる人がいるって言っていたことがある。モデル時代からの付き合いで、結婚の対象にはならない人だって」

結婚の対象にはならない人?
家庭のある人とか?
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