運命なんて信じない
「なあ琴子」
翼が真っ直ぐ私を見た。

「何?」

「麗が亡くなるまでに半年以上の時間があったんだ。もし付き合っている人がいたなら名乗り出るはずだろう」

確かに。
賢介さんもそう言った。

「遥君は琴子達の子だよ」

「うん。ありがとう」

これでハッキリした。
始めから誰にも渡す気はなかったけれど、もう迷わない。
遥は私の子。

プププ プププ
翼の携帯が鳴った。

「ちょっとごめんね」
私に断わって電話に出ると、しばらく話していた翼、

「ごめん。会社に戻らないといけなくなった」

「ええ?8時だよ」

「時差があるから、向こうは昼間なんだ」

なるほど。

「いいから行って。また連絡するから」
「ああ」

翼は何度も謝って店を出て行った。
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