運命なんて信じない
仕掛けられた罠
7月。
今日から案内の制服も夏服に替わった。

「琴子ちゃん、夏服も似合うわね。スタイルいいからかなあ?」
彩佳さんが夏服に着替えた私をマジマジと見ている。

「そんな事ないですよ」
私も新品の制服に袖を通した自分の姿を見つめた。

実際、スタイツがいいとは思わない。
太くもなく細くもなく、どちらかというと小柄な私は良くも悪くもコンパクトな印象。
間違っても目立つことはないし、麗のような華のある人間でもない。
それでも、スカートと半袖のオーバーブラウスにスカーフだけの夏用の制服は、ジャケットがないだけでも随分身軽に感じる。

「では、今日も1日よろしくお願いします」
主任の挨拶で朝の申し送りが終わり、私は彩佳さんと正面受付の勤務に向かった。
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