運命なんて信じない
しばらくして、奥様がお水と薬と野菜スープを持って現れた。

「すみません」
きっと心配をかけたのだろうと、私は素直に謝った。

「正直、昨日は驚いたわ。お願いだから、もう2度としないでちょうだい。年頃の女の子が酔っ払って帰るなんていい事じゃないわ」

奥様なりに叱ってくれているのが分かって、返って胸が熱くなった。

「とにかく、今日はお仕事を休みなさい。もし琴子が仕事に行きそうならすぐに連絡してもらいように母さんにも言っておくから。いいね」
「・・・はい」
いつもとは違い怒っている様子の賢介さんに、私はそう答えるしかなかった。

今まで人から心配される経験が少ないせいかこんな時どうしたらいいのか分からないけれど、今日はおとなしく家にいよう。
彩佳さんや先輩達には申し訳ないけれど、私は会社に連絡して今日一日お休みをもらう事にした。
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