恋人ごっこ幸福論





「えええ、まっじか~いいなあ橘、幸せだなあお前」

「何なんだよお前は」

「何なんだよじゃねえわ、羨ましすぎて禿げそうだわ!」

「勝手に禿げてろ」



変なものを見る目で菅原先輩にツッコミを入れた橘先輩とぱちっと目があう。



「あ、えーっと…一応、ありがとう」

「いえいえ、好きでやってるんでいいんです」

「手間かかってんだろ、コイツの分もあるし礼くらい言うよ」

「あの、そんな俺が迷惑かけてるみたいに言わないでよ」

「とりあえず早く食べてあげてくれません?」



言い合いをする彼らに英美里ちゃんがぴしゃりとツッコミを入れるとようやくいただきます、と手を合わせた。

サバのカレー焼きを箸で取って口に入れる様子をドキドキしながら見守る。



「うん、旨いわ」

「本当ですか!よかった」

「緋那ちゃん緋那ちゃん!美味しいです!!」

「菅原先輩…ありがとうございます」

「緋那ちゃん引いてるじゃん」



卵焼き以外も大丈夫ならよかった。みんなにも好評みたいだしとりあえず一安心。

あとは試合も上手くいってくれるといいなあ。梅雨入りの遅いおかげか、天気の良い6月上旬の昼間は少し暑いけれどいいピクニック日和だ。

わいわい皆でご飯食べれるのって嬉しいな…なんて呑気なことを考えながらランチタイムを過ごしていると。



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