恋人ごっこ幸福論





「先輩、ご一緒しても大丈夫ですか…?」



なにか準備とかあるかもしれないし、渡すだけの方がよかったのかなと確認してみる。



「別に大丈夫だけど。食べたらすぐ抜けるわ」

「すみません、なんか気遣わせちゃって」

「どう考えてもコイツのせいだからいい」

「いった!!なんだよ~いいじゃんか~ちょっとくらい」

「うっさい、お前も集まるんだから忘れんなよ」

「わーってるって!」



ゴン、と菅原先輩の頭を小突いてる様子を見る限り、忙しいから困っただけなのかな。…少しいつもより元気がないように見えたのは気のせいだろうか。



「時間無いならさっさと食べません?」

「そーそー!あそこのベンチ空いてるし早く」



けれどそれ以上考える前に、紗英ちゃんと英美里ちゃんに呼ばれたのでお弁当を広げることにした。



「お好みかどうか分からないですけど、どうぞ」

「まじで、これ緋那ちゃん作ったの?!」



ベンチと傍にあったテーブルの上に、お弁当を広げると菅原先輩が立ち上がって大袈裟に声を上げる。



「そんな騒がれるほどのものでは、」

「みんなここまでしないわよ」

「そうかな?」



サバのカレー焼きに、厚揚げとかぼちゃの煮物。

無難におにぎりやこの前褒めてくれた卵焼きなどなるべくいろんな種類のおかずになるようにレシピ調べて作ったかいはあったかも。期待されてたようだったから安心した。




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